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【金の相続税】評価額の計算から対策まで|仏壇・仏具は非課税?

2026年7月6日
   

相続財産の中に金(きん)の地金やネックレスがある場合、相続税がかかるのか不安に感じるかと思います。

金の地金やアクセサリーといった相続税の課税対象となる金の評価額計算方法から、純金製のおりんや仏像が非課税になる場合とそうでない場合の具体的な違いまでご説明します。

さらに、生前贈与や仏具の生前購入を通じた効果的な相続税対策についてもご紹介します。

この記事の監修/取材協力

古尾谷 裕昭 税理士

相続専門の税理士法人(VSG相続税理士法人)の代表税理士。同事務所では、年間3,500件の相続税申告を行っており「99%税務調査が入ってこない」「税金を可能な限り安く」「親身に寄りそった対応」という品質で、元国税調査官を招き入れた体制のもとサービスを提供している。

三ツ本 純 税理士

相続専門の税理士(VSG相続税理士法人)。税理士業界に就職した後、10年以上相続税の専門税理士として活動、これまで600件以上の相続税申告に関わっている。横浜出身。書籍「令和3年度版 プロが教える! 失敗しない相続・贈与のすべて (COSMIC MOOK)」など

もくじ

  • 金の相続は課税対象、仏壇・仏具は原則非課税
  • 相続税の課税対象となる金の種類
    • 金地金(インゴット・ゴールドバー)
    • 金貨・記念硬貨
    • 純金積立
    • 金のネックレスなどの装飾品
  • 金の相続税評価額の計算方法
    • ステップ1:相続開始日(死亡日)の買取価格を調べる
    • ステップ2:相続した金の重さを確認する
    • ステップ3:「買取価格 × 重さ」で評価額を計算する
  • 金を隠しても税務署にバレる理由
    •  被相続人・相続人の入出金履歴が確認されるため
    • 金地金のシリアルナンバーで所有者が特定されるため
    • 金の売買時に本人確認書類が提出されているため
  • 仏壇・仏具の相続税|非課税の条件と課税されるケース
    • 原則非課税となる「祭祀財産」とは?
  • 【要注意】純金製でも相続税の課税対象となる4つのケース
    • 1. 投資目的や骨董的価値が高いと判断された場合
    • 2. 日常的に礼拝の用に供されていない場合
    • 3. 社会通念上あまりにも高額な場合
    • 4. 相続開始直前に節税目的で購入したと疑われる場合
  • 課税対象となった場合の評価方法
    • 金や貴金属でできている仏具の評価
    • 骨董品・美術品としての価値がある仏具の評価
  • 金や仏具を使った相続税対策と注意点
    • 金の相続税対策①:生前贈与
    • 金の相続税対策②:仏具の生前購入
  • 相続後の注意点:金を売却すると所得税がかかる
    • 譲渡所得の計算方法と取得費加算の特例
  • 金の相続税に関するよくある質問
    • Q. 金のおりんや仏像は必ず非課税になりますか?
    • Q. 領収書や鑑定書がない場合はどうすればいいですか?
    • Q. 相続税の申告はいつまでに行う必要がありますか?(時効は?)
    • Q. 税金を払えない場合、金で物納できますか?
  • まとめ

金の相続は課税対象、仏壇・仏具は原則非課税

相続税における金と仏壇・仏具の扱いは、税務上大きく異なります。

まず、金地金や金貨、金のアクセサリーといった「金」そのものは、資産価値を持つ財産と見なされるため、相続税の課税対象です。亡くなった日時点の市場価格に基づいて評価し、相続財産として申告する必要があります。

一方、仏壇や仏具、墓石などは「祭祀財産」と呼ばれ、社会通念上、祖先を祀るためのものとして認識されているため、原則として相続税は非課税とされています。これは、国民感情に配慮し、信仰や慣習に基づく財産に対しては課税しないという特別な配慮がされているためです。

ただし、祭祀財産であっても、例外的に課税対象となる可能性があるため、注意が必要です。

相続税の課税対象となる金の種類

相続税の課税対象となる「金」は、一口に金といってもその形態は様々です。

どのような金が相続税の対象となるのかを具体的に解説します。

これからご紹介する金地金、金貨、純金積立、そして金の装飾品などは、すべて相続税評価の対象となりますので、ご自身の財産にこれらの金が含まれていないかを確認してください。

金地金(インゴット・ゴールドバー)

金地金、いわゆるインゴットやゴールドバーは、相続税の課税対象となる金の典型的な例です。

これらは重量と純度が明確に保証されており、世界共通の資産価値を持つため、相続財産としても非常に評価しやすい特徴があります。

例えば、田中貴金属工業や三菱マテリアルといった信頼性の高いブランドから発行されたインゴットなどがこれに該当します。

相続が発生した場合、これらの金地金は、後ほど詳しく解説する評価方法に基づいて財産価値を算出し、相続財産として税務署に申告する必要があります。

重量の確認は刻印で容易に行えるため、現物の確認と合わせて準備を進めることが重要です。

金貨・記念硬貨

金貨や記念硬貨も、相続税の課税対象となる金の一つです。

特に「メイプルリーフ金貨」や「ウィーン金貨」に代表される地金型金貨は、その額面価格ではなく、金そのものが持つ価値で評価されるのが大きな特徴です。

これらの金貨は、含有されている金の重量に基づいた市場価格で評価され、相続税申告時の財産額に計上されます。

また、収集家向けの記念硬貨についても注意が必要です。額面価格をはるかに超えるプレミア価値が付いている場合は、その市場価値(時価)で評価されます。

つまり、額面通りの価値ではなく、その硬貨が持つコレクターズアイテムとしての価値が評価されるため、専門家による査定が必要となるケースもあります。

純金積立

純金積立は、証券会社や地金商を通して毎月一定額を積み立てて金を購入していく方法です。

この純金積立も相続税の対象となります。相続税の評価においては、被相続人が亡くなった日(相続開始日)時点で積み立てられていた金の総量が基準となります。

具体的な評価額の計算では、証券会社や地金商から発行される残高証明書などを参考に、相続開始日時点での金のグラム数と、その日の1グラムあたりの買取価格を乗じて算出します。

純金積立は、目に見えない資産であるため、被相続人の預貯金口座の履歴から金の購入履歴を見落としてしまい、結果として申告漏れにつながるケースが少なくありません。

そのため、遺品の整理と合わせて、必ず金融機関からの取引履歴を確認し、慎重に評価を行うようにしてください。

金のネックレスなどの装飾品

金のネックレス、指輪、ブレスレットといった宝飾品や装飾品も、相続税の課税対象です。

これらの評価は、金地金のように単純に金の重さだけで決まるわけではありません。デザイン性、ブランド価値、付いている宝石の種類や品質なども考慮される場合があります。

しかし、一般的には、その装飾品に含まれる金の重量を基にした「買取相当額」で評価されることが多い傾向にあります。

もし、相続した金の装飾品の評価が難しいと感じる場合は、専門の宝飾品買取業者に査定を依頼する方法が有効です。

専門業者による査定額は、相続税申告時の客観的な評価根拠となりますので、適切な評価のために積極的に活用することをおすすめします。

金の相続税評価額の計算方法

相続が発生し、金地金や金のアクセサリーなどを相続することになった場合、最も気になるのはその金にどれくらいの相続税がかかるのかという点ではないでしょうか。

金は現金のように額面が明確でないため、相続税評価額の計算方法について戸惑われる方も少なくありません。

これからご紹介する「買取価格の調査」「重さの確認」「評価額の計算」という手順を踏むことで、正確な評価額を導き出すことができます。

ステップ1:相続開始日(死亡日)の買取価格を調べる

金の相続税評価額を計算する際の最初のステップは、被相続人が亡くなった日、つまり相続開始日の金の1グラムあたりの「買取価格」を正確に調べることです。

ここで重要なのは、国税庁の指針に基づき、評価の基準となるのは貴金属店などが提示する「販売価格」ではなく、常に「買取価格」であるという点です。

販売価格は手数料などが上乗せされているため、買取価格よりも高くなることが一般的です。

具体的な調べ方としては、田中貴金属工業や三菱マテリアルといった信頼性の高い地金商が、ウェブサイト上で過去の金相場表を公開していますので、そちらを確認する方法があります。

これらのサイトでは、日付ごとの金1グラムあたりの公表価格(小売価格と買取価格)が詳細に記録されています。相続開始日が土曜日、日曜日、祝日などで相場が公表されていない場合は、その日に最も近い過去の日の買取価格を使用するようにしましょう。

ステップ2:相続した金の重さを確認する

金の相続税評価額を算出するための第2のステップは、相続した金の正確な重さを確認することです。金の種類によって確認方法は異なります。

金地金(インゴット)の場合、ほとんどの製品にはグラムやキログラム単位で重量が刻印されていますので、その刻印を確認しましょう。例えば、「100g」と刻印されていれば、その金地金の重さは100グラムです。

一方、金のネックレスや指輪といった装飾品の場合、刻印がないか、あったとしても全体としての重さではないことがあります。

正確な重量が不明な場合は、ご家庭にあるキッチンスケールなどで一時的に測ることもできますが、より正確な計測が必要であれば、お近くの貴金属店で測ってもらうのが確実です。多くの貴金属店では、無料で正確な重量を測定してくれます。

純金積立の場合には、目に見える形で金があるわけではありません。この場合は、契約している証券会社や地金商から発行される取引残高報告書や、ウェブサイトのマイページなどで、相続開始日時点の積み立てられている金の総グラム数を確認することができます。

このように、相続した金の種類に応じて適切な方法で重さを確認し、次のステップに進む準備を整えましょう。

ステップ3:「買取価格 × 重さ」で評価額を計算する

金の相続税評価額を算出する最終ステップは、ステップ1で調べた1グラムあたりの買取価格と、ステップ2で確認した相続した金の重さを掛け合わせるというシンプルな計算です。

この計算によって得られた金額が、相続税申告書に記載すべき相続税評価額となります。

具体的な計算例を挙げてみましょう。例えば、相続開始日における金1グラムあたりの買取価格が13,000円だったとします。そして、相続した金地金の重さが100グラムだった場合、評価額は次のように計算されます。

13,000円(1グラムあたりの買取価格) × 100グラム(相続した金の重さ) = 130万円

この130万円が、今回のケースにおける金の相続税評価額となり、この金額を他の相続財産と合算して相続税の計算を行うことになります。

この計算は非常に単純ですが、正確な買取価格と重さを把握することが何よりも重要ですので、前のステップを慎重に行うようにしてください。

金を隠しても税務署にバレる理由

「少量の金なら申告しなくても税務署にはバレないだろう」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、その認識は非常に危険です。1回あたり200万円を超える金売買しがあると、地金商には税務署へ「支払調書」を提出する義務があります。誰がいつ金を買ったのかは国に把握されているのです。

相続財産の一部を意図的に隠したり、過少に申告したりする行為は、発覚した場合、重いペナルティ(延滞税や重加算税)を科されることになります。

 被相続人・相続人の入出金履歴が確認されるため

税務署が隠し財産を発見する最も基本的な手法の一つが、銀行口座の入出金履歴の徹底的な調査です。

税務調査では、亡くなった方(被相続人)だけでなく、相続人全員の過去数年分、場合によっては過去10年にもさかのぼって、すべての金融機関の取引履歴が厳しくチェックされます。

この調査の中で、不自然に多額の出金や、使途不明な現金引き出しなどがあれば、税務署はその資金が何に使われたのか、詳細な説明を求めてきます。

もしそこで金の購入があったことが判明すれば、申告されていない金の存在が明らかになり、過去の預金口座の動きから金の存在が芋づる式に発覚する可能性が非常に高いです。

金地金のシリアルナンバーで所有者が特定されるため

金地金(インゴット)には、一つひとつ固有のシリアルナンバーが刻印されています。このシリアルナンバーは、金地金の製造元や販売元が管理しており、多くの地金商は販売したインゴットのシリアルナンバーと購入者情報を記録・保管しています。

税務署は、税務調査の際にこれらの地金商に対して「〇〇さんの所有する金地金の購入履歴」といった照会をかけることが可能です。

照会により、被相続人が過去に購入した金地金の銘柄、重量、購入日、そしてシリアルナンバーといった詳細な情報を把握できます。

これにより、たとえ申告されていなかったとしても、税務署は簡単に金地金の存在を突き止められる仕組みになっています。

金の売買時に本人確認書類が提出されているため

日本では、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に基づき、金融機関や地金商などで一定額以上の取引を行う際には、本人確認書類の提出が義務付けられています。

特に、金地金や貴金属の売買において、200万円を超える取引の場合、地金商は顧客の運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類の提示を求め、その記録を保管するだけでなく、税務署に「支払調書」を提出する義務があります。

相続人が相続した金を売却した際、この支払調書が税務署に提出されることで、税務署は「〇〇さんが、いつ、いくらで、どの銘柄の金を売却したか」という情報を把握します。

もし、この売却された金が相続財産として事前に申告されていなかった場合、支払調書の情報と相続税申告内容との間に矛盾が生じ、申告漏れが発覚するきっかけとなります。

このように、相続後の行動からも過去の申告漏れが判明するリスクがあるため、隠し通すことは非常に難しいと言えます。

仏壇・仏具の相続税|非課税の条件と課税されるケース

仏壇や仏具は原則として相続税が非課税となる「祭祀財産(さいしざいさん)」に該当します。

しかし、すべての場合において非課税となるわけではなく、純金製などの高価な素材でできていたり、日常の礼拝に使用されておらず投資目的と見なされたりする場合には、例外的に課税対象となる可能性もあります。

まず祭祀財産の定義と、どのような仏壇・仏具が非課税の対象となるのかを具体的に解説します。

その上で、純金製のおりんや仏像などが課税対象となる具体的なケースを4つご紹介し、もし課税対象となった場合の評価方法についても詳しく見ていきます。

原則非課税となる「祭祀財産」とは?

仏壇や仏具が相続税の課税対象とならないのは、「祭祀財産」という特定の財産に該当するためです。祭祀財産とは、祖先や神仏を祀るために使用される財産のことで、相続税法第12条にその非課税規定が明記されています。この規定は、国民感情や社会通念、長きにわたる慣習に配慮し、先祖供養に関わる財産を課税対象から除外することで、子孫が安心して祭祀を執り行えるように設けられています。

具体的には、祭祀財産には、先祖の眠る墓地や墓石、自宅に設置される仏壇や仏具、神棚などの祭具、そして家系の記録である系譜(家系図)などが含まれます。

これらの財産は、個人の財産を評価する際の基礎控除とは別に、完全に非課税として扱われるため、相続税対策としても非常に有利な特例です。

しかし、単に仏具であれば全て非課税となるわけではなく、その「祭祀財産」として認められるには、いくつかの条件があります。

例えば、その仏具が日常的に礼拝に用いられているか、社会通念上不相応に高額ではないかといった点が重要になります。

この非課税の規定は、故人の思いを尊重し、残された家族がスムーズに供養を続けられるよう配慮されたものと言えるでしょう。

非課税と認められる仏壇・仏具の具体例

一般的に相続税が非課税と認められる仏壇・仏具には、日々の礼拝や供養に用いられる品々が含まれます。

具体例

  • 木製の仏壇本体
  • 位牌
  • ご本尊
  • 真鍮製のおりん
  • 香炉
  • 線香立て
  • 花立て
  • ローソク立て

これらの品々は、先祖供養のために必要なものとして社会的に広く認知されており、また、その換金性も極めて低いことから、通常の資産とは異なり相続税の対象にはならないと判断されます。

仮に一部に金箔が施されている仏壇であっても、それが全体的な価値を大きく左右しない限りは、非課税となるケースがほとんどです。

重要なのは、これらの仏壇・仏具が、先祖を祀るという本来の目的で使われていることです。一般的な範囲内の品であれば、ほとんどの場合で安心して非課税の恩恵を受けることができます。

祭祀財産を相続する「祭祀承継者」とは

祭祀財産は、通常の相続財産とは異なり、遺産分割協議の対象とはなりません。この特殊な財産を引き継ぐのは、「祭祀承継者」と呼ばれる特定の一人です。

祭祀承継者は、故人の祭祀に関する一切の権利と義務を承継する立場であり、仏壇や仏具、墓地などを単独で引き継ぎます。

祭祀承継者が誰になるかは、いくつかの方法で決まります。

最も優先されるのは、被相続人(亡くなった方)が生前に指定していた場合です。

遺言書や口頭での明確な意思表示があれば、その指定が尊重されます。

もし指定がない場合は、地域の慣習や親族間の話し合いによって決まることが多く、一般的には長男が引き継ぐケースが多数を占めます。

しかし、必ずしも長男である必要はなく、祭祀を主宰するにふさわしいと認められる人が承継者となることが可能です。

それでも意見がまとまらない場合には、家庭裁判所に調停や審判を申し立てて決定することになります。

祭祀承継者となった人は、非課税で祭祀財産を引き継げるというメリットがある一方で、故人の法要を主宰し、お墓や仏壇の管理を継続するという重要な責任も負うことになります。

この制度は、故人の供養が途絶えることなく円滑に続けられるようにとの配慮から設けられています。

【要注意】純金製でも相続税の課税対象となる4つのケース

仏壇や仏具は原則として非課税の「祭祀財産」として扱われますが、「純金製」という高価な素材でできている場合、その取り扱いには細心の注意が必要です。

税務署は、その仏具が本当に信仰目的で使われているのか、それとも単なる資産として保有されているのかを厳しく判断します。

もし、これからご紹介する4つのケースに該当すると、残念ながら祭祀財産とは認められず、通常の相続財産として相続税の課税対象となるリスクが高まります。

原則非課税という言葉を安易に鵜呑みにせず、ご自身の仏具がこれらのケースに当てはまらないかを確認することが大切です。

1. 投資目的や骨董的価値が高いと判断された場合

純金製の仏像やおりんなどが、その素材や精巧さから「信仰の対象」としてよりも「投資対象」や「骨董品」としての価値が高いと税務署に判断された場合、相続税の課税対象となります。

例えば、著名な作家が手がけた純金製の仏像で、その美術的価値が非常に高額であったり、購入時に「将来の値上がり益」を期待していたりといった実態が明らかになれば、それは祭祀財産ではなく、換金可能な資産と見なされます。

たとえ仏壇に飾られていたとしても、その本質が資産形成やコレクションにあったと判断されれば、通常の金地金と同じように評価されることになりますので注意が必要です。

2. 日常的に礼拝の用に供されていない場合

祭祀財産として非課税になるための大前提は、その仏具が「日常的に礼拝に使われている」ことです。

もし、高価な純金製のおりんや仏像を購入したにもかかわらず、普段は仏壇に置かず、自宅の金庫や貸金庫にしまい込んだままになっていた場合、税務署はその仏具が先祖供養や信仰のために使われていないと判断します。

この場合、単なる「資産」と見なされてしまい、相続税の課税対象となる可能性が非常に高くなります。

仏具は、購入しただけでなく、実際に日々使用しているという「使用実態」が極めて重要になることを覚えておいてください。

3. 社会通念上あまりにも高額な場合

明確な金額基準があるわけではありませんが、仏具の価格が「社会通念上、常識の範囲を逸脱して高額」であると判断された場合も、課税対象となるリスクがあります。

例えば、数千万円もするような豪華絢爛な純金製の仏壇や仏具は、その地域の慣習や被相続人の社会的地位、財産状況と比較してあまりにも不相応と見なされれば、純粋な信仰心からの購入ではなく、節税目的を疑われる可能性があります。

税務署は、その仏具が一般的に先祖供養のために必要な範囲を超えていると判断した場合、課税対象とすることがあります。

この判断は税務署の裁量に委ねられる部分が大きく、高額であればあるほど、そのあいまいさがリスク要因です。

4. 相続開始直前に節税目的で購入したと疑われる場合

被相続人が亡くなる直前に、多額の現金を預貯金から引き出して高価な純金製の仏具などを購入した場合、これは「駆け込み節税」と見なされる可能性が極めて高くなります。

税務署は、被相続人や相続人の銀行口座の入出金履歴を詳細に調査しており、相続税を減らす目的で不自然な資金の動きがあったと判断すれば、その仏具を祭祀財産とは認めず、通常の相続財産として課税対象とします。

特に、相続開始の数ヶ月前といった短期間での高額な購入は、節税目的が露骨であると判断されやすく、非課税規定の適用が否認される強い警告と受け止めるべきです。

課税対象となった場合の評価方法

仏壇や仏具が相続税の課税対象と判断された場合、その評価額の算出方法は、仏具の主な価値が「素材」にあるのか、それとも「骨董品や美術品」としての価値にあるのかで異なります。

ここでは、これら2つの評価パターンについて、それぞれ詳しく解説していきます。

金や貴金属でできている仏具の評価

もし課税対象となった仏具が、純金やプラチナなどの貴金属でできている場合、その評価方法は、これまでご説明してきた「金の相続税評価額の計算方法」と同様に、素材の価値で評価されます。

具体的には、相続開始日時点の貴金属の1グラムあたりの買取価格に、その仏具に含まれている貴金属の正確な重量を乗じて評価額を算出します。

例えば、純金製のおりんの場合、そのおりんに含まれる金の重さ(グラム)と、相続開始日の金の1グラムあたりの買取価格を掛け合わせることで評価額が決まります。

専門の買取業者による査定額は、その正確な重さや純度を基に算出されるため、相続税申告における評価額の参考として非常に有効です。

骨董品・美術品としての価値がある仏具の評価

課税対象となった仏具が、素材価値よりも「骨董品」や「美術品」としての価値を持つと判断された場合は、その作品自体の市場価値、つまり時価で評価されることになります。

この種の仏具は、制作された年代や作者、保存状態、希少性などによって価値が大きく変動するため、素材の重さだけで評価することはできません。

正確な評価額を算出するためには、古美術商や美術品鑑定士など、その分野の専門家による鑑定評価が不可欠です。もし鑑定書がある場合は、その記載された評価額が基準となります。

素人判断で評価すると、過小評価や過大評価につながり、後々の税務調査で問題となる可能性もありますので、必ず専門家の助けを借りるようにしてください。

金や仏具を使った相続税対策と注意点

相続が発生する際に大きな不安要素となるのが相続税です。特に、親から金地金や金の装飾品、先祖代々受け継がれてきた仏壇や仏具といった財産を相続する場合、その税務上の扱いや対策について頭を悩ませる方は少なくありません。

しかし、適切な対策を講じることで、将来の相続税負担を軽減できる可能性があります。金や仏具を活用した相続税対策の具体的な方法と、その実施にあたって注意すべき点について詳しく解説します。

特に、被相続人(亡くなった方)が生前に行える「生前贈与」と「仏具の生前購入」という二つの代表的な対策に焦点を当て、それぞれのメリットとリスクをセットでご紹介します。

金の相続税対策①:生前贈与

相続税対策として非常に有効な手段の一つに「生前贈与」があります。

これは、被相続人が生きているうちに、ご自身の財産を相続人に贈与することで、将来の相続財産を事前に減らし、結果的に相続税の負担を軽減しようというものです。

金についても、生前贈与の対象とすることができます。

具体的な方法としては、金を直接渡す「現物贈与」のほか、金を売却して現金化し、その現金を贈与する方法も考えられます。

特に、年間110万円の非課税枠を活用して、毎年少しずつ贈与していく「暦年贈与」は、一般的な相続税対策として広く利用されています。

贈与税の基礎控除と注意点

生前贈与を行う上で最も重要なポイントの一つが、贈与税の基礎控除額です。

日本の贈与税には、年間110万円の基礎控除額が設けられており、この範囲内で贈与を行うのであれば、贈与税はかからず、贈与税の申告も不要です。

しかし、この基礎控除を毎年活用する「暦年贈与」には以下の注意点があります。

「生前贈与加算」の対象となる

相続開始前7年以内(2024年1月1日以降の贈与に適用され、段階的に延長される予定)に行われた贈与は、相続財産に加算される「生前贈与加算」の対象となります。これは、相続税対策としての贈与の有効期間が設けられていることを意味しますので注意が必要です。

「定期贈与」とみなされる可能性がある

毎年同じ時期に同じ金額を贈与し続けていると、税務署から「定期贈与」とみなされ、最初からまとまった金額を一括で贈与する約束があったものとして、その総額に対して贈与税が課税されてしまうリスクがあります。

「定期預金」とみなされないために…

贈与の時期や金額を毎年変える、贈与の都度「贈与契約書」を作成するなど、贈与の意思を明確に示すことが重要です。

贈与契約書は、贈与があったことを証明するだけでなく、後々のトラブル防止にもつながります。安易な贈与は思わぬ課税や家族間の誤解を招く可能性もありますので、慎重な計画と実行が求められます。

贈与契約書の作成ガイド:メリット・注意点・書き方をわかりやすく解説2026年3月25日贈与契約書の作成ガイド:メリット・注意点・書き方をわかりやすく解説

金の相続税対策②:仏具の生前購入

相続税対策として、もう一つ効果的な方法として挙げられるのが、被相続人が生前に自身の預金を使って仏壇や仏具を購入することです。

この対策の基本的な考え方は、課税対象となる「現金預金」を、原則として非課税財産である「祭祀財産」(仏壇、仏具、墓地、墓石など)に換えることで、結果的に相続財産の総額を圧縮し、相続税を節税するというものです。特に、相続税の基礎控除を超えるような多額の財産をお持ちの方にとっては、有効な選択肢となり得ます。

仏壇や仏具は、故人や先祖を供養するために用いられる財産であり、社会通念上、一定の範囲内であれば相続税の対象外とされています。

この規定を活用することで、預貯金という形で残しておけば相続税の対象となる財産を、非課税財産に転換し、将来の相続税負担を軽減できる可能性があります。

しかし、この方法にはいくつかの重要な注意点が存在します。

仏具購入で節税する際の3つの注意点

仏具の生前購入による相続税対策は有効ですが、実行する際には以下の3つの重要な注意点を必ず守る必要があります。これらの注意点を怠ると、節税効果が得られないばかりか、税務署から否認され、かえって問題が生じる可能性もあります。

  1. 「必ず被相続人が生前に購入すること」
    相続が発生した後に、相続人が自身の財産を使って仏壇や仏具を購入しても、それは相続財産の減少にはつながりません。節税効果を得るためには、被相続人がご存命のうちに、その方の財産で仏具を購入することが必須となります。
  2. 「ローンで購入しないこと」
    もし仏具をローンで購入した場合、購入代金は支払われますが、その代わりにローンという債務が残ります。相続が発生した際に、この債務も相続財産から控除されることになりますが、現金で購入する場合と比較して、節税効果が相殺されてしまう可能性があります。基本的には、現金一括での購入を検討すべきでしょう。
  3. 「社会通念から逸脱した高額なものを避けること」
    本記事でも詳しく解説した通り、仏壇や仏具が非課税と認められるのは、それが社会通念上、常識の範囲内であると判断される場合に限られます。
    例えば、数千万円もするような豪華絢爛な仏壇や純金製の高価すぎる仏具などは、税務署から「信仰目的ではなく、明らかに節税目的である」と判断され、祭祀財産としての非課税規定が適用されないリスクがあります。具体的な金額の基準はありませんが、被相続人の社会的地位や財産状況に照らして不相応に高額だと判断されるような購入は避けるべきです。

これらの注意点を守り、健全な形で仏具の生前購入を行うことが、効果的かつリスクの少ない相続税対策につながります。

相続後の注意点:金を売却すると所得税がかかる

相続した金は、相続税の申告と納税が済めばすべて完了と思われがちですが、実はその金を売却した際に「所得税」が発生する可能性があります。

この点は見落とされやすく、思わぬ税負担につながることもあるため、注意が必要です。

特に、金の売却によって利益が出た場合には、給与所得など他の所得と合算して確定申告を行う必要があります。

相続後の長期的な資産管理を見据え、金の売却時にかかる税金について詳しく解説していきます。

譲渡所得の計算方法と取得費加算の特例

相続した金を売却して利益が出た場合、その利益は「譲渡所得」として所得税の課税対象となります。

譲渡所得の計算は、「売却価格 − (取得費 + 譲渡費用) − 特別控除50万円」という式で行われます。

ここでいう取得費とは、被相続人がその金を購入したときの価格を指します。

もし被相続人がいつ、いくらで金を購入したかの情報(領収書など)が不明な場合は、売却価格の5%を取得費とみなす「概算取得費」というルールが適用されます。

さらに、相続税を支払っている方には、「取得費加算の特例」という非常に重要な節税制度があります。

これは、相続した財産を相続税の申告期限から3年以内に売却した場合、支払った相続税の一部をその財産の取得費に加算できるというものです。

この特例を適用することで、譲渡所得の計算における取得費が増え、結果として譲渡所得税の負担を軽減することができます。

ただし、この特例を適用するには、相続税の申告期限から3年以内に売却を完了させる必要があるため、期限には十分注意してください。

金の相続税に関するよくある質問

金の相続税については、専門的な知識が必要となる場面が多く、疑問や不安を感じる方も少なくありません。

Q. 金のおりんや仏像は必ず非課税になりますか?

金のおりんや仏像が必ず非課税になるかというと、残念ながら「必ずしも非課税とは限りません」という回答になります。原則として、日常の礼拝や信仰のために使われる仏具は「祭祀財産」として相続税の対象外です。

しかし、純金製で高額なものや、美術品としての価値が非常に高い仏像、あるいは購入動機が投資目的であると税務署に判断された場合は、資産とみなされ課税対象となる可能性があります。

例えば、仏壇に置かれず金庫に保管されていたり、換金性が非常に高かったりするケースです。明確な線引きは難しく、最終的な判断は税務署が行いますので、不安な場合は専門家への相談が不可欠です。

Q. 領収書や鑑定書がない場合はどうすればいいですか?

領収書や鑑定書がない場合でも、相続した金や仏具の評価は可能ですのでご安心ください。

金の取得費が不明な場合、売却時の所得税計算では、売却額の5%を概算取得費として控除できる特例があります。これは、被相続人がいつ、いくらで金を購入したかを示す書類がない場合に適用されます。

仏具の評価についても、領収書がなくても、信頼できる専門の鑑定士、古美術商、または仏具店に依頼して、現在の市場価値を査定してもらう方法があります。

相続税申告においては、評価の根拠を明確にすることが非常に重要です。そのため、専門家による査定書や鑑定書を準備し、税務署に提出できる状態にしておくことをおすすめします。

Q. 相続税の申告はいつまでに行う必要がありますか?(時効は?)

相続税の申告と納税には、厳密な期限が設けられています。

原則として「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」に、被相続人の住所地を管轄する税務署へ申告書を提出し、納税を完了する必要があります。もしこの期限が土日祝日にあたる場合は、その翌平日が期限となります。

「時効」についても触れておきますと、相続税の時効は原則として5年です。

しかし、悪質な財産隠しや無申告と判断された場合は、時効が7年に延長されます。時効を待つことは現実的ではなく、延滞税や重加算税といった重いペナルティが課されるリスクが非常に高いため、期限内の適正な申告を強くおすすめします。

Q. 税金を払えない場合、金で物納できますか?

相続税は、原則として現金一括での納付が求められます。

しかし、どうしても現金で納付することが困難な場合には、「延納」や「物納」という制度を利用できる場合があります。

金地金は、物納の対象となる「物納適格財産」の一つに含まれているため、条件を満たせば金で税金を納めることは理論上可能です。

ただし、物納は非常に複雑な手続きを要し、国に納められる際の評価額(収納価額)が市場価格よりも低く評価される可能性があります。

また、すべての金地金が物納できるわけではなく、一定の厳格な要件を満たす必要があります。そのため、物納を検討する前に、まずは分割で納付する延納や、財産を売却して現金化することによる納税を検討するのが一般的です。

安易に物納を選ぶと、かえって不利益を被る可能性もあるため、専門家と十分に相談してから判断することが重要です。

まとめ

この記事では、金の相続税評価額の計算方法から、仏壇・仏具の相続税における扱い、さらには相続税対策まで、幅広く解説してきました。

改めて重要なポイントを整理すると、金地金や金貨、金のアクセサリーといった金製品は、基本的に時価で評価され、相続税の課税対象となります。一方、仏壇や仏具は「祭祀財産」として原則非課税ですが、純金製で高額なものや、投資目的と判断されるもの、あるいは相続開始直前に駆け込みで購入されたものなどは、例外的に課税対象となる可能性があります。

相続税の計算や申告、祭祀財産の適格性の判断は専門的な知識を要する場面が多く、特に高価な金製品や仏具が含まれる場合は自己判断が危険です。誤った申告は追徴課税や延滞税といったペナルティに繋がり、家族間のトラブルに発展する可能性も否定できません。

故人への敬意を守りつつ、適正な相続手続きを進めるためには、少しでも不安や疑問を感じた時点で、税理士などの専門家へ相談することが最も確実で安心できる方法です。

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私たちの想い

相続後に、
遺産をしっかり受け取り、安心して日々を過ごすことができるかどうか。
その鍵は、相続に強い税理士に出会えるかどうかが握っています。

例えば・・

  • 申告に漏れがあれば、税務署から調査を受け追徴課税を支払う可能性がある
  • 税理士が見つからず申告が間に合わなければ罰金を受けたり税金が高額になる
  • 税理士が不親切であれば、よく分からないまま申告を行うことになる

など
実際に、
令和2年には、5,106件の税務調査が行われ、1件あたりなんと943万円の追徴課税が課されています。
相続に強い税理士がついていれば、まず税務調査に発展する可能性も低く、
追徴課税を受けるような抜けや漏れもないため、安心して相続税申告を終えることができます。

相続後の生活は、相続に強い、良い税理士に出会えるかどうかで決まるといっても過言ではないのです。

「亡くなられた方の遺産を、大事な方々にしっかりと残して欲しい」
「相続税のことで悩んだり、支払いに追われる様な方を1人でも多く減らしたい」


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