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二世帯住宅の相続税|小規模宅地等の特例の適用要件や注意点

2026年9月16日
   

二世帯住宅の相続は、建物の登記方法や生活実態によって適用できる特例や評価額が大きく変わるため、通常の相続と比べ、権利関係や相続税評価額の計算が難しくなる傾向があります。

二世帯住宅の相続税について、特例適用の判断基準や計算方法、注意点等をご紹介します。

この記事の監修/取材協力

古尾谷 裕昭 税理士

相続専門の税理士法人(VSG相続税理士法人)の代表税理士。同事務所では、年間3,500件の相続税申告を行っており「99%税務調査が入ってこない」「税金を可能な限り安く」「親身に寄りそった対応」という品質で、元国税調査官を招き入れた体制のもとサービスを提供している。

三ツ本 純 税理士

相続専門の税理士(VSG相続税理士法人)。税理士業界に就職した後、10年以上相続税の専門税理士として活動、これまで600件以上の相続税申告に関わっている。横浜出身。書籍「令和3年度版 プロが教える! 失敗しない相続・贈与のすべて (COSMIC MOOK)」など

もくじ

  • 相続税の計算方法と流れ
    • 1.相続財産と法定相続人を確定する
    • 2.課税遺産総額を算出する(基礎控除)
    • 3.かかる相続税の総額を計算する
    • 4.相続税の総額と各人の納税額を計算する
  • 二世帯住宅で小規模宅地等の特例を適用するための要件
    • 小規模宅地等の特例とは?
    • 二世帯住宅の登記方法による小規模宅地等の特例の適用可否
    • 小規模宅地等の特例の同居・生計要件
  • 二世帯住宅の相続税評価額の計算方法
    • 土地の評価額の算出方法
    • 建物の評価額の算出方法
  • 二世帯住宅の相続の注意点とトラブル回避策
    • 注意点1:親が老人ホームに入居していた場合の特例適用
    • 注意点2:兄弟間での共有名義相続のリスク
    • 注意点3:相続税が払えない場合の対処法
    • トラブル回避策:遺産分割協議と遺言書の活用
  • 二世帯住宅の節税対策
    • 生前贈与と相続の比較 
    • 相続時精算課税制度を利用する際の注意点
  • 二世帯住宅の必要書類
    • 小規模宅地等の特例の適用に必要な書類一覧
    • 特例適用で相続税が0円になった場合 
  • 二世帯住宅の相続でよくある質問
    • 区分登記された二世帯住宅で、共有登記に変更すれば今からでも小規模宅地等の特例は使えますか?
    • 相続税の申告期限を過ぎてから小規模宅地等の特例を適用することはできますか?
    • 自分で相続税の評価や申告を行うことは可能ですか?専門家に頼むべきでしょうか?
  • まとめ

相続税の計算方法と流れ

相続税を正しく計算するためには、基本的な計算の流れを理解する必要があります。

1.相続財産と法定相続人を確定する

相続発生後、被相続人の土地、建物などの不動産や現金、株式などの財産を把握してください。また、借金や未払いなどの負の財産も併せて確認が必要です。

相続財産の把握と同時に、法定相続人の確定をします。法定相続人は、法律上相続権を与えられた人です。相続人の人数により、かかる相続税の額が変わるため、戸籍謄本などから正確に把握する必要があります。

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2.課税遺産総額を算出する(基礎控除)

相続税には、財産の合計額から差し引くことができる基礎控除があります。

基礎控除額の算出式は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」です。

遺産総額がこの基礎控除額以下であれば相続税は発生せず、申告も原則不要です。

遺産総額が基礎控除を上回る場合は、超えた部分である課税遺産総額を基準に税額を計算することになります。

3.かかる相続税の総額を計算する

課税遺産総額をもとに、まずは法定相続人が「法定相続分通りに財産を分割した」と仮定して、相続税の総額を計算します。

実際の遺産分割の方法や配偶者の税額軽減などの特例を最初から反映させて計算するのではなく、まずは法定相続分を前提とした共通の基準で全体の総額を算出します。

これは、個別の分割方法や控除の適用によって税金の総額自体が恣意的に変動することを防ぐための仕組みです。

配偶者の税額軽減などの特例による税額の軽減や調整は、個人の事情に対する免除措置として位置づけられており、この全体の総額を固定した後の段階でおこなわれます。

4.相続税の総額と各人の納税額を計算する

相続税の総額に対し、実際の遺産分割協議で決まった「実際の取得割合」に応じて各相続人に税額を割り振ります。

配偶者の税額軽減などの各種控除を適用したうえで、各相続人が最終的に納める税額が決定します。

二世帯住宅で小規模宅地等の特例を適用するための要件

二世帯住宅の相続において、大きな節税効果をもたらすのが小規模宅地等の特例です。

この特例が使えるかどうかで納税額に大きな差が生じます。

小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)とは、亡くなった人(被相続人)が自宅として使っていた土地を相続する際、一定の要件を満たすことで土地の相続税評価額を最大80%(面積330平方メートルまで)減額できる制度です。

残された遺族の住まいを失うことがないよう配慮して設けられた特例であり、敷地面積が広い都市部の二世帯住宅などでは、数千万円単位の評価引き下げにつながることが珍しくありません。

二世帯住宅の登記方法による小規模宅地等の特例の適用可否

二世帯住宅の場合、建物をどのような登記形態にしているかによって、特例の適用可否が分かれます。

ケース1:建物が区分登記の場合

区分登記とは、1棟の建物を親世帯の住戸と子世帯の住戸にそれぞれ別の不動産として登記する方法です。

この場合、税法上はそれぞれが独立した別の建物とみなされます。

したがって、親世帯の居住部分にあたる土地については特例の対象となりますが、区分登記された子世帯の居住部分については同居と認められず、特例が適用できない可能性が高くなります。

平成26年(2014年)の税制改正により二世帯住宅の特例適用範囲は広がりましたが、区分登記だけは不利な取り扱いとなるため注意が必要です。

ケース2:建物が共有登記の場合

共有登記とは、建物の全体を親と子が持分割合を決めて1つの建物として登記する方法です。共有登記の場合、内部で完全に独立した間取り(玄関やキッチンが別々)になっていたとしても、税法上は同居として扱われます。

そのため、土地の全体(限度面積330平方メートルまで)に対して小規模宅地等の特例を適用が可能です。

ケース3:親の土地に子が家を建てた場合(敷地内同居)

敷地内同居とは、親が所有する敷地(土地)の中に、子が自己資金で別棟の家を建てて暮らすことです。建物は完全に別個の存在です。

このケースでは、土地の所有者は親ですが、そこに子が建てた別の家が建っているため、同居親族としての特例適用は受けられません。

土地を無償で借りている(使用貸借)場合でも、原則として別居親族の扱いとなるため、「生計が一」の要件などを満たさない限り、特例の適用は難しくなります。

小規模宅地等の特例の同居・生計要件

特例を適用するためには、誰が土地を相続するかによって要件が変わります。

配偶者が相続する場合

被相続人の配偶者が土地を相続する場合、同居・別居の事実や、相続後の居住継続に関わらず、無条件で特例(80%減額)が適用されます。

同居親族が相続する場合

配偶者以外の同居親族が相続する場合、下記の要件をすべて満たす必要があります。

  • 被相続人が亡くなる前から一緒に住んでいる
  • 亡くなったあとも相続税の申告期限(10ヶ月)まで居住し所有し続ける

一時的な仮住まいや、相続後すぐに売却・転居した場合は要件から外れてしまいます。

別居親族(家なき子)が相続する場合

配偶者や同居親族がいない場合に限り、家なき子と呼ばれる別居親族が相続することで特例が認められる救済措置があります。

要件は、被相続人が亡くなる前3年以内に、自分や配偶者、三親等内の親族や同族会社が所有する家に住んだことがないこと、相続開始時点に住んでいる家を過去に所有したことがないこと、かつ相続した土地を申告期限まで所有し続けることなどが挙げられます。

二世帯住宅の相続税評価額の計算方法

相続税を計算する前提として、二世帯住宅の土地と建物の評価額をそれぞれ個別に算出する必要があります。

土地の評価額の算出方法

土地の評価方法には、主に路線価方式と倍率方式の2つがあります。

路線価方式は、国税庁が毎年7月に公表する路線価(道路に面する土地1平方メートルあたりの価格)に基づいて計算します。路線価 × 土地の面積をベースに、土地の形状(奥行きや間口など)に応じた補正率を掛け合わせて算出します。

一方、路線価が定められていない地域では、自治体が定める固定資産税評価額に一定の倍率を掛ける倍率方式を採用します。いずれの方式も、市価(実際の取引価格)の7〜8割程度になるのが一般的です。

建物の評価額の算出方法

建物の相続税評価額は、自治体から毎年送られてくる固定資産税納税通知書に記載されている「固定資産税評価額」そのものを指します。

計算式としては、「固定資産税評価額 × 1.0」となり、複雑な計算は不要です。

新築時の建築費用に比べて、評価額は5〜6割程度に下がるケースが多く、建物に関しては現金で所有しているよりも評価を低く抑えることができます。

二世帯住宅の相続の注意点とトラブル回避策

相続発生後に後悔しないために、二世帯住宅特有の注意点と回避方法をご紹介します。

注意点1:親が老人ホームに入居していた場合の特例適用

親が要介護認定等を受けて老人ホームに入居したことで、二世帯住宅に空きが生じていた場合でも、下記の一定の条件を満たす場合は小規模宅地等の特例を適用できます。

  • 入居直前まで親がその自宅で暮らしていた
  • 入居後にその家を他人に貸したり事業用にしていない
  • 生計を一つにする親族以外の人が住んでいない

単に老人ホームに住民票を移しただけでは特例から除外されないため、適用要件を確認してください。

注意点2:兄弟間での共有名義相続のリスク

二世帯住宅の土地と建物を共有名義で相続することは、おすすめしません。

共有名義にすると、将来その不動産を売却したり、リフォームしたり、建て替えたりする際に共有者全員の同意が必要になります。

また、次の世代に相続が発生すると、権利関係が複雑化しやすく、トラブルの原因になりかねません。

注意点3:相続税が払えない場合の対処法

相続税は原則として現金一括払いです。

二世帯住宅という価値のある不動産を引き継いだものの、手元の現金が不足していて税金が払えないというケースも少なくありません。

どうしても払えない場合は、税務署に申請して年金のように分割で支払う「延納」や、相続した不動産そのものを国に納める「物納」という選択肢を検討することになります。

しかし、利子税の発生や厳しい審査要件があるため、生前の資金準備が大切です。

トラブル回避策:遺産分割協議と遺言書の活用

相続に関するトラブル発生の予防として、生前に遺言書を作成しておくことがおすすめです。

「自宅は同居している長男に引き継がせ、その代わりに次男には同等額の預貯金や生命保険金を遺す」といった具体的な分割案を公的に遺しておくことで、被相続人の意思を尊重でき、トラブルを防ぎやすいです。

しかし、「預貯金を全て二男に引き継がせる」といったような他の相続人の遺留分を侵害する可能性のある内容はかえったトラブルを招くため配慮が必要です。

二世帯住宅の節税対策

生前から相続税対策を行うことで、相続発生時の税負担が軽くなりやすいです。

生前贈与と相続の比較 

不動産を渡す方法としては、生前贈与か相続の2つの方法があります。

贈与税は相続税に比べて税率が高く設定されており、生前贈与を行うと多額の贈与税が発生します。

また、小規模宅地等の特例は生前贈与された土地には適用できません。

そのため、基本的には小規模宅地等の特例が使える「相続」まで待つ方が税務上のメリットは大きくなります。

生前贈与がおすすめのケース

生前に財産を移転した方が結果として全体の税負担を抑えられるケースもあります。

将来にわたって高い収益を生み出す「アパートなどの賃貸物件」や、今後確実に価値が上昇すると見込まれる「株式などの資産」です。

これらを生前に子世代へ贈与しておくことで、将来得られる家賃収入や値上がり益が子世代に直接渡すことができるため、親の相続財産がこれ以上膨らむのを防ぐことができます。

相続時精算課税制度を利用する際の注意点

相続時精算課税制度は、原則60歳以上の親から18歳以上の子などに対して、総額2,500万円までの贈与について贈与税を非課税とし、相続が発生した際にその贈与財産を相続財産に持ち戻して相続税を計算する制度です。

この制度を利用して生前に自宅土地を贈与してしまうと、相続時に小規模宅地等の特例が使えなくなります。

暦年課税制度(暦年贈与)を利用した場合

暦年課税制度とは、受贈者(もらう人)1人あたり年間110万円までの贈与であれば税金がかからない仕組みです。

長年にわたり少しずつ現金を子や孫に贈与していくことで、親の相続財産を確実に減らす節税手法として広く利用されています。

ただし、令和5年度税制改正により、相続税の課税価格に加算される暦年贈与の「持ち戻し期間」が3年から段階的に7年へ延長されることになりました。

具体的には、令和6年1月1日以降の贈与から順次期間が延長され、最終的に7年となる経過措置が設けられています。

現在の制度移行期においては、相続開始前3年以内の贈与財産が持ち戻し対象となることに加え、延長された期間(最大4年)に贈与された財産については、その合計額から100万円を控除した額が加算される仕組みになっています。

このため、持ち戻し期間延長による負担を軽減するためにも、生前贈与はより早期から計画的に実施することが重要です。

二世帯住宅の必要書類

二世帯住宅を相続する際の手続きや必要書類について説明します。

相続発生から申告・納税までの10ヶ月スケジュール

相続税の申告と納税の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から「10ヶ月以内」と定められています。以下が標準的な進め方のイメージです。

  1. 戸籍謄本の収集、相続人の確定、遺言書の有無の確認、財産(土地・建物・預貯金等)のリストアップと簡易評価。
  2. 準確定申告(被相続人の亡くなった年の所得税申告、4ヶ月以内)、財産の正確な鑑定や評価額の算出(税理士等の専門家への相談)。
  3. 相続人全員による「遺産分割協議」の実施、分割方法の合意、遺産分割協議書の作成。
  4. 相続税申告書の作成、税務署への提出、および相続税の現金納税。

遺産分割協議でもめてしまうと10ヶ月の期限に間に合わなくなり、特例等の適用が受けられなくなることや、追徴課税等が生じるため注意してください。

小規模宅地等の特例の適用に必要な書類一覧

小規模宅地等の特例を利用して申告を行う際には、通常の申告書類に加えて以下の添付書類が必須となります。

  • 被相続人のすべての相続人を明らかにする戸籍謄本(または法定相続情報一覧図)
  • 遺言書の写し、または遺産分割協議書の写し
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 小規模宅地等に係る計算の明細書

家なき子特例を適用する場合は、これらに加えて相続人の戸籍の附票や、過去3年間自己等所有の家に住んでいないことを証明する賃貸借契約書、相続開始時点に住んでいる家を過去に所有したことがないことを証明する登記簿謄本などが必要となります。

特例適用で相続税が0円になった場合 

小規模宅地等の特例を適用した結果、遺産総額が基礎控除以下になり、納税額が0円になったという場合でも、税務署への相続税申告は必須です。

この特例は、期限内に申告手続きを行うことを適用要件としているため、申告を怠ると特例が使えず、本来の高い評価額に基づいて課税(および無申告加算税等のペナルティー)されてしまいます。

二世帯住宅の相続でよくある質問

二世帯住宅の相続でよくある質問をまとめました。

区分登記された二世帯住宅で、共有登記に変更すれば今からでも小規模宅地等の特例は使えますか?

相続発生前に共有登記へ変更し、一定の同居実態要件を満たせば適用可能となる場合があります。

ただし、登記変更にかかる登録免許税や不動産取得税、また贈与税が発生するリスクもあるため、実行前に税理士などの専門家への相談がおすすめです。

相続税の申告期限を過ぎてから小規模宅地等の特例を適用することはできますか?

原則として、期限である10ヶ月以内に遺産分割が調い、申告手続きを行う必要があり、期限後の小規模宅地等の特例の適用はできません。

期限までに分割がまとまらない場合は、期限内に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出して未分割のまま一度仮申告を行い、3年以内に分割を成立させて再請求する手続きが必要です。

自分で相続税の評価や申告を行うことは可能ですか?専門家に頼むべきでしょうか?

二世帯住宅のように、特例要件が絡む不動産の評価計算は非常に複雑であり、少しの間違いで数百万円から数千万円の課税差が生じます。

税理士へ支払う報酬(遺産総額の0.5%〜1.0%程度が相場)を考慮しても、専門家に依頼する方がリスクを回避でき、最終的な手残りが増えることが多いです。

まとめ

二世帯住宅の相続税は、小規模宅地等の特例の適用可否で大きく変わります。

小規模宅地等の特例の適用可否は、二世帯住宅の構造や登記方法で異なり、判断が難しいです。

二世帯住宅の相続について、不安や疑問がある方は、相続に強い税理士へご相談ください。

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相続後に、
遺産をしっかり受け取り、安心して日々を過ごすことができるかどうか。
その鍵は、相続に強い税理士に出会えるかどうかが握っています。

例えば・・

  • 申告に漏れがあれば、税務署から調査を受け追徴課税を支払う可能性がある
  • 税理士が見つからず申告が間に合わなければ罰金を受けたり税金が高額になる
  • 税理士が不親切であれば、よく分からないまま申告を行うことになる

など
実際に、
令和2年には、5,106件の税務調査が行われ、1件あたりなんと943万円の追徴課税が課されています。
相続に強い税理士がついていれば、まず税務調査に発展する可能性も低く、
追徴課税を受けるような抜けや漏れもないため、安心して相続税申告を終えることができます。

相続後の生活は、相続に強い、良い税理士に出会えるかどうかで決まるといっても過言ではないのです。

「亡くなられた方の遺産を、大事な方々にしっかりと残して欲しい」
「相続税のことで悩んだり、支払いに追われる様な方を1人でも多く減らしたい」


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